「数学のテスト中、パッと解き方をひらめく人がうらやましい」
「自分には数学のセンスがないから、志望校の過去問を見ても手も足も出ない」
もしそんなふうにため息をついているなら、今日でその「思い込み」を捨ててほしい。
君が数学のテストで点数が取れないのは、ひらめく才能がないからではない。 高校入試の数学を「才能の勝負」だと勘違いして、あたまの使い方を間違えているだけなんだ。
数学で高得点を取る力は、センスよりも大事な視点が必要だ。それを今回は整理していきたい。
結論、数学力について整理すると、下記のような「数式」として表すことができる。
【高校入試・数学得点力の方程式】
数学力 = ①計算力 × ②パターンのストック × ③図にする力 × ④ミス防止力
この4つのうちどれか1つでも「ゼロ」があれば、君の数学の点数は必ずどこかでピタッと止まってしまう。 逆に言えば、「ひらめき」なんていう曖昧なものを待たなくても、この4つの力を順番に高めていけば、誰でも必ず入試本番で合格点を勝ち取れる。
それぞれの力がなぜ必要なのか。具体的に何をやればいいのか。それをやるとどんな変化が起きるのか。明日からの勉強ですぐに使えるように、一つずつ整理をしていこう。
① 計算力
高校入試の数学において、一番最初に出題される「小問集合(計算問題など)」。
ミスが命取りになる問題で、しかもここで時間を使いすぎると、後半の応用問題に使える時間が消滅してしまう。
・【なぜこれが大事なのか】 人間の脳には「作業机(ワーキングメモリ)」という、情報を一時的に広げておくスペースがある。もし分数の足し算や、プラスマイナスの符号の計算で「えっと…」と立ち止まって脳のエネルギーを使うと、作業机は「計算」だけでいっぱいになる。 すると、後半の図形や関数の問題で「どうやって解くんだっけ?」という、一番大事な思考をするためのスペースがゼロになってしまう(これを認知負荷と言う)。基礎計算が遅い状態は、スマホが処理落ちして画面が動かなくなるのと同じなんだ。
・【アクション:今日から何をやればいいのか】 「時間をかければ解けるからいいや」という甘い考えを捨てること。 入試の過去問や問題集の「小問集合」だけを抜き出し、毎日5分間、ストップウォッチを使ってなるべく早く解く練習をしよう。目標は「問題をみて瞬時に解き方が思いつく(自動化されている)」レベルまで繰り返すことだ。
・【効果:これをやるとどうなるのか】 計算に脳のエネルギーを一切使わなくなるため、テスト本番で頭が疲れなくなる。さらに、入試の50分という制限時間の中で「5分〜10分の余裕」が生まれ、その時間を配点の高い後半の「大問」に時間をさける。
② パターンのストック
「あの人は、なんであんな難しい入試問題の解き方をパッとひらめくんだろう」 そう思ったことはないかな。しかし、彼らの多くはゼロから天才的なアイデアを「ひらめいて」いるわけじゃないんだ。
・【なぜこれが大事なのか】 高校入試の数学の応用問題は、過去何十年も「同じパターンの使い回し」で作られている。 数学ができる人は、問題を見た瞬間に「過去に覚えた大量のパターンの中から、一番近いものを脳内から検索して引っ張り出しているだけ」なんだ。君がテスト中にひらめかないのは、センスがないからじゃなくて、単に脳内にストックされているパターンの数が少ないだけなんだよ。
・【アクション:今日から何をやればいいのか】 問題集を解いて間違えたとき、赤ペンで答えを丸写しして満足するのをやめよう。 君がやるべきなのは、「問題文のどの『キーワード』を見たら、この『解き方』を使うべきだったのか」という繋がりを言葉にして覚えることだ。 たとえば、「『中点』と『平行』という言葉が出たら、中点連結定理を使う」「『水槽から一定の割合で水を抜く』と出たら、一次関数の式を作る」。ヒントと解き方をセットにしてノートにまとめよう。
・【効果:これをやるとどうなるのか】 初見の入試問題を見ても、頭が真っ白にならなくなる。「あ、このキーワードがあるってことは、あのパターンの解き方だな」と、自分でも驚くほど瞬時に解法を「ひらめく」ことができるようになる。
③ 図にする力(文章を絵や図に翻訳する力)
「計算問題は得意だけど、一次関数や図形の証明になった瞬間に手も足も出なくなる」という君は、この「③図にする力」が足りていない。
・【理論:なぜこれが大事なのか】 一次関数の動く点(動点)の問題や、空間図形の問題を、問題文の「文字」だけを見て頭の中だけで解こうとしていないだろうか。 人間の脳は、文字情報だけを処理するのがとても苦手だ。文字情報を「図(視覚イメージとして)」に書き出すことで、脳の負担を大幅に減らすことができる。文章題は、図を描いて初めてスタートラインに立てるんだ。
・【アクション:今日から何をやればいいのか】 問題文を読んだら、必ず問題用紙のグラフや図形に「直接情報を書き込む」クセをつけよう。 一次関数の問題なら、わかっている座標をグラフの点の上に直接書く。図形の問題なら、長さが同じ辺に「印」をつけ、わかっている角度をすべて図の中に書き込んでいく。
・【効果:これをやるとどうなるのか】 「文字」を追ってイライラすることがなくなる。書き込んだ図をパッと見ただけで、「あ、ここに二等辺三角形が隠れている!」「ここの長さが出せそうだ」と、視覚的なヒントが勝手に目に飛び込んでくるようになる。
④ ミス防止力(「ケアレスミス」という言い訳を捨てる)
「あー、またプラスマイナスの符号を間違えた!もったいない!」 高校入試において、この5点のミスは致命傷になる。たった5点で、合格者の順位は数十人も入れ替わってしまうからだ。
・【理論:なぜこれが大事なのか】 人間が起こすミスを研究する科学において、「ただの不注意」というものは存在しない。ミスが起きるのは、君の集中力が足りなかったからではなく、君の「ノートの書き方」に欠陥(システムエラー)があるからだ。 数学ができる人は、自分がテスト本番の緊張でミスをしやすい人間だということを誰よりも知っている。だから、ミスが絶対に起きないような「ルール」を作って計算しているんだ。
・【アクション:今日から何をやればいいのか】 今日から「ケアレスミス」という言葉を自分に禁止しよう。ミスをしたら、「なんでこのエラーが起きたのか?」を冷徹に分析し、ノートの書き方を変えること。 「アルファベットのqと、数字の9を見間違えた。次からqは筆記体で書こう」 「イコールの位置がズレて上の行と混ざった。次からイコールは必ず縦に一直線に揃えよう」 「分配法則でマイナスをかけ忘れた。次から必ず、カッコの中に向けて矢印を引っ張ってから計算しよう」など。
・【効果:これをやるとどうなるのか】 「わかっていたのに点数を落とした」という一番悔しい失点がゼロになる。自分が本来持っている実力を、入試本番で100%そのまま得点に変えることができるようになる。
結論:数学は君を裏切らない。原因を見つけて直すだけ
【高校入試・数学力】
数学力 = ①計算力 × ②パターンのストック × ③図にする力 × ④ミス防止力
もし次の模試で数学の点数が悪かったとき、「自分には数学のセンスがない」と諦めるのは今日で終わりにしよう。 そうじゃなくて、自分のエラーの原因を論理的に分析するんだ。
・時間が足りなくて後半が白紙になったなら、「①基礎的な計算のスピード」の反復が足りない。 ・応用問題で何をしていいか手が止まったなら、「②パターンの暗記」が足りない。 ・関数や図形で式が立てられなかったなら、情報を書き込む「③図にする力」をサボっている。 ・「わかっていたのに間違えた」という失点が多いなら、ノートの書き方を見直す「④ミスを防ぐルール」が甘い。
君がやるべきなのは、ため息をつくことじゃない。自分がつまずいている「原因」をこの公式からピンポイントで見つけ出し、そこだけを的確に修理することだ。
数学に魔法はない。才能もいらない。 正しいルールを知り、自分の脳を無駄遣いせず、エラーを直していけば、誰でも必ず志望校の合格ラインにたどり着ける。
【図解】


